阪神電鉄バス 西宮山手線・鷲林寺線
山手循環(阪神西宮〜満池谷〜甲陽園駅前〜新甲陽〜阪神西宮)
鷲林寺循環(阪神西宮〜満池谷〜鷲林寺〜県立甲山森林公園前〜新甲陽〜阪神西宮)
西宮市の山の手を循環運転する路線。

【路線概要】
山手とは、西宮市の阪急神戸線以北、国道171号線以北、阪急今津線以西の地域を指し、 主に甲山山麓の地域のことを言う。 この西宮山手線も阪急を越え、西宮の甲山山麓の山手地区を循環運転して阪神西宮へと戻る路線で、 阪神西宮駅北側のバスターミナル1番のりばからは「山手西廻り」、2番のりばからは 「山手東廻り」のバスが出発する。
この西宮山手線には、阪神バスの他路線では見られない番号が行き先方向幕表記されているが、 これは系統番号と言うより西回りと東回りのバスの進行方向を瞬時に区別するための便宜上のものであり、 「1」は西回り、「2」は東回りに表記されている。 ちなみに同じく循環運転をする鷲林寺線には、この種の番号は表記されていない。
「山手西廻り」のバスは、阪神西宮のバスターミナルを出ると国道2号線を左折し、 産所町西交差点で右折、幅員の狭いJRの高架をくぐってJRの北へ抜け、万葉苑筋を北上する。 「山手東廻り」はその逆で、国道2号線を東へ進んでいく。
西回りのバスは北城山町を出ると満池谷までの間に下り坂のあるカーブがあり、 バスは徐行しながらそこを進む。また、満池谷バス停前にあるニテコ池は、 西宮市内随一の桜の名所で、かの野坂昭如原作の小説でアニメ映画にもなった 「火垂るの墓」の舞台にもなったところでもある。 左手に、そのニテコ池を望みながら、バスは一方通行路へと入っていく。かつてはそのまま直進して 苦楽園口へと進んだが、昭和48年頃から西回りのバスは名次神社経由に変更されている。 ちなみに東回りのバスは、獅子ヶ口から夙川沿いの道路を南進して、苦楽園口・名次町を経由して、 満池谷へと至る。
獅子ヶ口を過ぎると、前方に阪急甲陽線の踏切にぶち当たり、西宮山手線のバスは、この踏切の すぐ手前で右折し、阪急甲陽線に沿って北上する。なお、鷲林寺線のバスは、そのまま阪急の踏切を渡り、 県道大沢西宮線を進んで行く。
夙川学院手前の踏切を渡り、バスは阪急甲陽線の終着駅でもある甲陽園駅前に到着。ただし、ここで 電車からバス、あるいはその逆の利用客というのは、ほとんどいない。
バスは北から東へ向きを変え、大師道に着く。ここの交差点で、 北側から甲山大師方面から来る鷲林寺線のバスと合流する。
新甲陽口を出ると、今までの曲がりくねった狭路もなくなり、大社町からは、阪急バスと同じルートを走る。 大社町停留所は、もともとは「上ヶ原口」という停留所名であったが、阪急バスとの競合区間上に位置する 停留所名を統一し、阪急バスが元から使っていた「大社町」と名称を変更している。また、阪急バスも同時に、 阪神バスと停留所名の異なっていた「市民体育館前」を阪神バスと同じ「市民運動場前」と名称変更した。
その市民体育館のある「市民運動場前」バス停を過ぎ、国道171号線を渡って阪急神戸線の高架を過ぎると、 バスは山手幹線を右折する。正規のルートは、そのまま直進し、2号線に出るが、現在、JRガード下の拡幅工事のため、 通行止めとなっており、バスは2000年春まで、暫定的にこのルートに迂回している。 山手幹線から市役所前線へ左折し、国道2号線に入って、市役所前、県立西宮病院前を通って阪神西宮へと到着する。 所要時間は西回りの場合で約36分、走行距離は西回りが8.7Km、東回りが9.1Kmである。

鷲林寺線は、阪神西宮のバスターミナルからはずれた7番のりばから発車する。
西回りの場合、西宮山手線の西回りと同様に満池谷・獅子ヶ口を経由し、獅子ヶ口を出ると、 阪急の踏切を渡って大沢西宮線を北上する。 獅子ヶ口北停留所からは登り坂が続き、バスはエンジン音を高めながら坂道を登っていく。 ちなみにこの鷲林寺線、阪神バスには数少ない山地路線でもある。
鷲林寺の三差路では、西宮甲山高校経由便の場合は直進するが、経由しない便はここで右折。 なお、西宮甲山高校経由便は甲山高校の学生の登下校時に合わせて運転されている。
鷲林寺、甲山墓園を過ぎると、北山貯水池と甲山の風景が目の前に拡がってくる。 北山貯水池を過ぎれば、甲山大師に到着する。 甲山大師は、弘法大師を祭った「おだいしさん」として知られ、毎月21日には、 大勢の参拝客がやって来る。このバスも、その参拝客の重要な足となっている。
甲山大師を過ぎると下り坂が続き、途中「ブレーキテスト」を行う箇所があるが、 テストしているんだろうかと疑問になってしまうくらいバスは止まらずに下り坂を進んでいく。 県立甲山森林公園前は、昭和50年からしばらくの間、ワンマン化されると同時に 鷲林寺線のバスの終着地となっていたが、 この先の料亭播半付近の道路拡幅工事が完了したこともあって、 今では一部を除く多くの便が、そのまま進んで阪神西宮へと向かっていく。
大師道の交差点で左折し、新甲陽にたどり着くと、そこからは西宮山手線と同じルートとなり、 阪神西宮へ向かっていく。所要時間は約55分、走行距離は西回りが14.9Km、東回りは15.3Kmで、 運賃は西宮山手線、鷲林寺線ともに210円均一ある。




【運行状況】

西宮山手線は、平日昼間はおよそ18分間隔で、 朝・夕ラッシュ時は、おおむね10〜12分間隔で運行され、本数としてはまあまあ確保されている。 新甲陽折り返し便は、かつて朝ラッシュ時に数本運転されていたが、現在では平日の早朝に 1往復のみの運転となり、減便されているが、山手循環線自体の運転本数は、 昭和55年頃に若干の増便を行って以来、運転本数にそう変化はない。
鷲林寺線は、西回り、東回りとも、それぞれ1時間に1〜2本程度の運転で、 さらに西宮甲山高校の登下校に合わせて、阪神西宮〜西宮甲山高校間などで区間運転便がある。 他の阪神の路線にはない、休校日運休の便があるのも、鷲林寺線ならではである。
また、鷲林寺線では、西宮北有料道路開通後の大沢西宮線の交通量増加によって、 土日の夕方を中心に、獅子ヶ口付近、鷲林寺付近での渋滞が酷くなり、 最大20分以上の遅れを出すこともある。
利用客はここ数年で顕著に少なくなってきており、特にバイク、マイカーの普及や、 特に夙川学院や西宮甲山高校など、沿線にある学校の通学客が少子化の影響で減ってきている。


【西宮山手線・鷲林寺線の歴史】

西宮山手線は昭和25年9月、西宮戎から新甲陽間で運転を開始し、昭和28年12月には、 現在とほぼ同じルートで循環運転を開始した。
一方、鷲林寺線は昭和36年9月に、 阪神西宮〜(甲山大師経由)〜トラピスチヌ修道院前(現在の鷲林寺南口)間で開業。 翌昭和37年には、鷲林寺線に西回り系統(満池谷経由)が開設され、西回りと東回りで それぞれ1日5便の運転により、循環運転が開始された。
昭和46年には西宮山手線のワンマン化を実施したものの、バスのすれ違い待避が困難な 箇所であった満池谷〜獅子ヶ口間を西回り、東回りでそれぞれルートを変え、 西回りは苦楽園口を経由しないルートで運行するようになった。
一方で、鷲林寺線は車掌乗務のツーマンカーが続いていたが、昭和50年10月、鷲林寺線の 県立甲山森林公園前(新設停留所)から大師道間を休止し、狭路区間を運休することによって、 鷲林寺線もワンマン化され、鷲林寺線で最後まで残っていた車掌乗務のツーマンカー路線が、 阪神電鉄バスから消えることとなる。
以後、鷲林寺線では阪神西宮−鷲林寺−県立甲山森林公園前間(往路8.6Km、復路9.0Km)での折り返し運転を続け、 昭和59年4月には、県立西宮甲山高校の開校に従って、鷲林寺(当時は通過停留所)−西宮甲山高校間で路線を延伸し、 西宮甲山高校の生徒輸送便も開設。
その後、大師道の道路拡幅工事が完了したことを受け、運行休止していた県立甲山森林公園前より先の区間への運転を復活し、 運行本数も増便、循環運転を復活した。循環運転復活後のルートは昭和50年までのルートとは多少異なり、 西宮山手線のルートに準じたコースをたどると同時に、運賃も昭和50年までの区間制(2区運賃)から、 西宮山手線と同様に均一制を採用するようになった。




【運転本数】
運転区間 運転本数
平日土曜日休日
西



山手西まわり605646
山手東まわり635947
阪神西宮〜新甲陽 往路 1
復路 1
往路 0
復路 0
往路 0
復路 0



西まわり(獅子ヶ口→鷲林寺)14(7)13(5)13(3)
東まわり(新甲陽→鷲林寺)14(7)13(7)13(1)
阪神西宮〜西宮甲山高校前 往路 6
復路 6
往路 4
復路 4
往路 0
復路 0
阪神西宮〜県立甲山森林公園前
(鷲林寺経由)
往 8(2)
復 8(2)
往10(2)
復10(5)
往 0(0)
復 0(0)
阪神西宮〜県立甲山森林公園前
(新甲陽経由)
往路 2
復路 2
往路 2
復路 2
往路 0
復路 0
カッコ内は、そのうち西宮甲山高校経由の便数を示す。


データはいずれも1999年2月現在。

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