■ 第1週 (第1〜6回)
青春期には若い情熱を宝塚の舞台に注ぎ、退団後もたえず新しい生き方を求め続けた一人の女性をユーモアを交えて明るく描く。
舞台は昭和12年、山口県の城下町・萩。ヒロインは萩高等女学校に通う島崎佳代(紺野美沙子)。
一家は私塾を開く父・宗太郎(高松英郎)、母・八重(岩本多代)、祖母・きぬ(南美江)、
弟・誠(入江則雅)の5人家族。
ある日、佳代は事の成りゆきから、萩中の生徒・河井(広井純)と剣道の果たし合いをすることになってしまう。
■ 第2週 (第7〜12回)
佳代と河井の対決は萩の町中に知れ渡り、佳代は3日間、河井は1週間の謹慎処分を言いわたされた。
祖母のきぬの監視を受け謹慎がとけた佳代は元気に登校。さっそく夏休みの旅行計画に夢中になる。
神戸の叔父から「来てもいい」という手紙をもらい、直角先生(島村晶子)に許可を願い出る。
また、佳代は両親や祖母に仲好し5人での関西旅行への許しを請うが、なかなか許してもらえず、はがゆい思いをするばかり。
■ 第3週 (第13〜18回)
佳代は友人の美佐(榎本ちえ子)ら同級生と、あこがれの関西旅行に出かける。
父・宗太郎も永年の夢であった郷土史出版の費用を神戸に住む叔父・賢次郎(長門裕之)から借りるため、
佳代たちに同行して神戸へ向かっていた。
神戸の叔父宅に到着し、関西旅行を楽しむ毎日。旅行の最終日の前日、
従姉の典子(山本郁子)の案内で佳代たちは宝塚少女歌劇の舞台を見た。黒の燕尾服をまとった男装の
麗人を目のあたりにした佳代は自分の未来の姿を見る思いだった。
■ 第4週 (第19〜24回)
宝塚の舞台を見て以来、夢にまで見るようになった佳代は、旅行の印象をまとめた作文がほめられ、
将来、宝塚へ進みたいという思いをますます強くする。
二学期が始まって間もなく、佳代ら5人組が校長に呼ばれた。京都の映画スターの家から記念に持ち帰った小石が問題になりだした。
一方、父・宗太郎が郷土史出版のため、賢次郎から金を借りたことがきぬに知れ、一騒動。
間に入った八重は大弱り。
■ 第5週 (第25〜30回)
昭和13年、卒業も間近に迫った佳代は、進路を決める時が来た。
あこがれの宝塚に入りたい気持ちを宗太郎にどう伝えるかどうか悩んだ。
そんなある夜、父の出版記念に出席した北川(芦屋雁之助)らが佳代の宝塚行きに乗り気になり、
宗太郎も許可を与えてしまった。しかし、母・八重や祖母・きぬらは猛反対。
ある日、叔父・光三郎(鹿内孝)が休暇で戻ってきた時、佳代は自分の気持ちを打ちあけ、叔父が母たちを説得してくれるよう期待した。
■ 第6週 (第31〜36回)
佳代は宝塚受験のため、照子(白石まるみ)とともに神戸へ向かう。
典子が作った計画表をもとに、受験日までの数日間、バレエや声楽のレッスンに励んだ。
ある日、典子のはからいで、佳代たちは宝塚にいたという上原敏江(新珠三千代)に会ったが、
敏江の苦労話を聞き、照子は怖じ気付いて宝塚受験を断念する。
いよいよ受験の日。佳代は同じ受験生の水上エミ(友樹こころ)と励ましあった。一次試験にパスした佳代は面接試験官の表情を見て不安になり、
発表を自分で確かめる勇気はなかった。
■ 第7週 (第37〜42回)
昭和13年4月、佳代は宝塚音楽歌劇学校に入学し、宝塚の伝統をしっかりと守って欲しいという校長の言葉をかみしめていた。
教室には、エミ、ゆき(毬谷友子)らがいたが、佳代たち予科生にはいつも上級生の目が光っていた。
バレエ、歌の経験のない佳代にとってレッスンは厳しく、特にバレエ教師の甘利(横澤チエ子)は妥協を許さない。
日本舞踊の教師で、担任でもある上原の励ましが佳代の支えだったが、日曜返上のレッスンの最中、
佳代は過労で倒れてしまった。
■ 第8週 (第43〜48回)
日曜返上でレッスンに励んだ佳代は、貧血で倒れてしまった。祖母・きぬは、萩へ帰ろうと勧めたが、
佳代は初心を貫きたいときぬを説得。翌日からまた稽古に励んだ。
ある日、神戸の賢次郎宅に河井が訪ねてきたが佳代とは入れ違いになってしまう。その後、
佳代たちが、いつものように食堂「おまっとうさん」で過ごしている時、ひょっこりと河井が店にやってきた。
花子(葦原邦子)たちのはからいで、二人だけで再会を喜びあったが、この様子を上級生の圭子(櫂早春)たちに見つかり、
生徒監の森田(戸浦六宏)に報告。佳代たちクラス全員が特訓の罰を受けた。
一方、典子は恋人のことを両親に打ちあけられず悩んだが、佳代はその相手と会うことにした。
■ 第9週 (第49〜54回)
恋人のことで失意の典子の役に立とうと佳代は典子から手紙をあずかり、相手の望月(佐々木剛)に渡すことにした。
その頃、望月の過去を調べた賢次郎は望月に対して、典子との結婚を厳しく断った。
ある日、典子は姿を消し、アメリカへ旅立つ前の望月と会っていた。
一方、宝塚ではレッスン中に腰を痛めた隆子(津田智華)のことが佳代たちの気がかりだった。
隆子も一度は再起したが志なかばで宝塚を去る決心をする。タキシードを着てみたかったという隆子の夢を
佳代たちはかなえてやるのだった。
■ 第10週 (第55〜60回)
佳代たちも入学して3か月が過ぎ、一学期の期末試験が始まった。成績次第では舞台人として失格し、
学校を去らなければならなかった。夏休みに入り、成績表を待つ間、萩からやってきた弟の誠と、
仕事中に大ケガをしたという河井を見舞ったが、河井の痛々しい姿に目を覆ってしまう。
やがて、待ちに待った成績表が届いたが、「二学期から出校に及ばず」とあり、佳代は泣き崩れる。
きぬ、園子(水野久美)は、そんな佳代を静かに見守っていた。
■ 第11週 (第61〜66回)
二学期が始まった。「登校に及ばず」の成績表は他人の物とわかりホッとして登校したが、
成績順に席が替わり、佳代は最前列でビリから3番目であった。バレエもトゥ・シューズでつま先で立つ難しい基礎練習が始まったが、
初めての経験である佳代にとって至難の業。「1か月以内に履きこなせないと舞台には立たせない」と言われ、
佳代は上級生に特訓を頼む。級友たちにも遅れをとり、家でも猛練習に励んだが、そんな佳代の姿に失敗を怖れぬ強さを感じた賢次郎は、
思い悩んでいた外国との貿易に踏みきることを決心した。
■ 第12週 (第67〜72回)
昭和15年、佳代は2年間の学校生活も終わり、宝塚歌劇団の団員として、憧れの舞台に立つことになった。
舞台名は郷里にちなんで「椿かよ」と決まった。
初舞台は月組の「グランドレビュー 春のをどり」のラインダンス。いよいよ初日、萩から母・八重もかけつけ、
賢次郎らの見守る中でラインダンスが始まった。初舞台の公演も終わりに近づいたある日、関という男性から花束が届けられた。
やがて組替えが発表され、佳代たちは花組に入ったが、ゆきだけが星組に配属となった。
■ 第13週 (第73〜78回)
昭和17年、歌劇団に入って3年目を迎えた佳代は「海」という作品で、初めてせりふのある役をもらった。
久し振りに河井が佳代を訪ねてきたが、河井が出征すると聞き、急に暗やみに放り込まれたように感じた。
花組公演の台本が渡され、身が引き締まる思いの佳代の前に、東京から立花英雄(土門俊)という若い医師が現れた。
佳代はあやしい男と勘違いしたが、賢次郎のはからいで、きぬの様子を見に来た医師だった。
戦時体制も強まり、宝塚の舞台にも戦争の影響を受けはじめた。
■ 第14週 (第79〜84回)
賢次郎の津村商会が倒産の危機にある中で、佳代は公演を控え、厳しいレッスンを続けていた。
ある日、同期の妙子(英マキ)が稽古を休んだ。
戦地に行く恋人と結婚の約束をしていたのだった。
一方、賢次郎の方は借金の返済日が迫り、最後の頼みだった園子も資金繰りがつかず、
住み慣れた邸宅を人手にに渡すことになった。
佳代は新しい家探しを始め、英雄も佳代たちに援助の手を差しのべた。
■ 第15週 (第85〜90回)
「海」の公演後、しばらく役に恵まれなかった佳代たちは、宝塚絵巻で仲良し5人組が共演することになった。
時節がら、耐乏生活をしいられたが、佳代は袴を改良したモンペを考案し、上級生からもほめられた。
公演でスミレの女王役で念願の独唱をすることになったゆきが、喉を痛めるアクシデントもあったが、
無事、初日を迎えた。食堂「おまっとうさん」も店を閉じることになり、きぬも神戸に佳代を置いて
萩へ帰る決心をした。
■ 第16週 (第91〜96回)
昭和18年10月、佳代らは宝塚歌劇移動隊として十日間の旅に出ることになったが、恋人が呉に入港している妙子は公演に出ることを渋った。
典子から佳代が旅に出ると知った英雄は、袋いっぱいの薬を佳代に届けた。
無事、公演を終え、神戸の賢次郎の家に帰った佳代を待っていたのは弟の誠で、学徒兵として入隊するので両親を頼むと言い残して去っていった。
それから1か月後、佳代は突然、英雄からの結婚の申し込みを受けた。
■ 第17週 (第97〜102回)
英雄から思いがけない結婚の申し出を受けて佳代は驚いたが、自分の青春をかけた宝塚でもっとやりたいことがあると、
英雄の申し込みを素直に受け入れられなかった。そんなある日、歌劇団の小杉(入川保則)から、九州・呉方面の移動隊の班長をやってほしいと言われ、
宝塚の灯を消さないためにも、この話を引き受け、英雄からの申し込みを断ろうと決心する。
しかし、自分たち医者も間もなく出征すると英雄に言われ、佳代の気持ちは大きくゆれた。
■ 第18週 (第103〜108回)
5年ぶりに萩へ帰った佳代を、八重、きぬらは不安な思いで迎えた。佳代を追うように英雄も萩を訪れ、
宗太郎たちに佳代を嫁にほしいと申し入れた。誠実な人柄に宗太郎らも惹かれ、佳代の気持ち次第となり、
佳代も英雄との愛に生きる決心をする。
佳代の最後の舞台となる三月公演が始まって間もなく、大劇場が閉鎖されることが決まった。やがて、叔父・
光三郎の戦死の報が入った。佳代は光三郎への思いを込め、最後の舞台、紅の翼を精いっぱい踊った。
■ 第19週 (第109〜114回)
昭和19年3月4日、佳代にとっても宝塚にとっても最後の舞台となり、佳代と英雄の結婚式も繰り上げて行われることになった。
萩から両親、祖母がやってきて、賢次郎夫妻らに祝われ、ささやかだが心のこもった式が挙げられた。
しかし、和歌山に集団風邪が発生しており、英雄は披露宴半ばで出かけていった。
佳代は結婚初夜から淋しい思いをするが、英雄の母・ひさの(ミヤコ蝶々)が、深い思いやりを見せる。
■ 第20週 (第115〜120回)
佳代は英雄との結婚間もなく、姑のひさのから、家計をいっさい任されたが、ある日、
生活費が入った財布を落としてしまった。その頃、萩では誠の戦死の知らせが入り、母・八重は悲しみに沈んだが、
そんなことは知らない佳代は結婚後初めて宝塚を訪問できるとあって、大喜び。レッスンに励むエミと再会。
心はずませて帰ったところに八重から悲しい知らせが入った。一方、賢次郎は貴金属取引の統制違反で警察の調べを受ける。
■ 第21週 (第121〜126回)
結婚して間もない佳代にとって、誠の戦死や賢次郎の警察連行はこたえ、佳代は倒れてしまった。
賢次郎のことが気がかりになり、英雄らが止めるのも聞かず、佳代は神戸に向かった。
賢次郎はダイヤの取引先を明かさぬため、なかなか釈放されず、園子も寝込んでしまう。
佳代は賢次郎の取引先に救いを求めたり、園子の介抱につとめたが、ある日、賢次郎が戻ってきて、
「神戸の家を買いもどす夢は消えた」と言った。
昭和19年、戦局はいよいよ激しさを増し、やがて英雄にも召集令状がきた。
■ 第22週 (第127〜132回)
いよいよ英雄が出征する日が来た。悲しみに耐えながら佳代はお守り袋と舞台写真を英雄に託し、
無事を祈るのだった。夫のことが頭に浮かび、落ちつかぬ佳代だったが、防空壕造りに励んでいた。
そんなところへ思いがけず、エミたちが訪ねてきた。
やがて戦火も激しくなり、大阪はB29による大空襲を受けた。佳代はひさのを背負って、命からがら逃げ、
やっと萩の実家にたどり着いた。
■ 第23週 (第133〜138回)
佳代は、ひさのと萩へ疎開したが、やがて終戦を迎える。
昭和21年1月、帰らぬ英雄の消息を求めて佳代は大阪へ出た。神戸の賢次郎は失意から立ち上がり、
典子も新聞社で働き始めていた。
久し振りに宝塚を訪れた佳代は、敏江らに再会。レッスンを始めていたエミにも会ったが、
大劇場がまだ占領軍に接収されたままだと知り、嘆願書を出すべく、署名運動を始めた。
ある日、英雄の戦友・大山と会い、英雄が負傷し、大山に託した一冊のノートを渡された。
やがて大劇場も接収解除となり、同年4月、カルメンで大劇場公演を再開した。
■ 第24週 (第139〜144回)
宝塚再開を喜んだのも束の間、佳代は祖母・きぬが病気だという知らせを受けて萩に帰った。
陽ざしの強い日、きぬは静かに息を引き取った。
きぬの死後3か月、ひさのは大阪へ帰り、佳代は萩に残った。佳代は剣道の師・沢木(西村晃)の道場で子供のバレエ教室を開こうとしたが、
思わぬ周囲の反対に四苦八苦。だが、次第に希望者も増え、ようやくバレエ教室を開校できた。そんな折、
大阪のひさのから、一通の電報が佳代のもとに届いた。
■ 第25週 (第145〜150回)
佳代のもとに英雄が帰ってきた。
月日は流れ、昭和34年、佳代38才。英雄との間には「純子」「歩」の二人の子供に恵まれ、
萩でバレエと剣道を教えていた。一方、賢次郎は戦争中に失った神戸の邸宅を買い戻し、
園子とともに再出発を誓い合う。
娘の純子がアメリカでミュージカルの勉のため、親元から旅立っていった。
佳代44才、精いっぱい生きた日々に悔いはなく、子供たちの未来に虹色の夢をかけようと心に誓った。